アメリカ・アトランタ(新体操):Nancy 「異国で,社会貢献している実感が味わえる」

篠原奈美枝(ニックネーム:Nancy)

国と都市,指導言語:アメリカ ジョージア州 アトランタ,英語
職種:新体操(Rhythmic Gymnastics)のコーチおよび審判.アメリカナショナルコーチ
海外指導歴:2004年〜現在
Website/Facebook: Ultimate Rhythmic Gymnastics, Facebook


—現在,どのようなスポーツ指導に関わっていますか?

7歳以上の女の子を対象に,新体操のベーシッククラスを任されて,定期的に指導しています.それから,不定期ですが,他の新体操競技選手のプライベートレッスンもしています.あと,各地での新体操大会で審判をしています.アメリカでは,審判も職業としてそれなりの時給がもらえるんです.

 

 

—海外でのスポーツ指導ならではの,一番楽しいことは何ですか?

色々な人種や言葉があるので,様々な文化と直接関わりながら,今まで経験したことのない新しい発見があることです.そして,それに応じて,自分の価値観や相手に対しての対応の仕方など,自分自身が成長していく喜びがあります.

その私の成長の結果,人種や文化の違う子供達やその両親などと共に,スポーツの楽しみや達成感を一緒に味わえる楽しみがあります.異国で,社会貢献している実感が味わえることは素晴らしいです.

また,アメリカでは,個人で体育館を持ってクラブ経営をしている指導者がほとんどなので,自分もアイディアと実行力次第で,それが現実感をもって考えられる楽しみもあります.

 

 

—日本でのスポーツ競技歴や指導歴は?

12 歳から10年間,新体操競技選手としてやっていました.その後10年くらい,会社のスポーツ教室部門で新体操の指導プログラムを作ったり,個人としてクラブを持って指導をしたり,審判をしたりしていました.

 

—海外でのスポーツ指導はいつからですか? そのきっかけは?

夫の仕事の関係でアメリカのコロラドに来たのが海外に来たきっかけです.最初は,娘の日本人友達のお母さん達からの希望で,3-5歳の子供達に新体操を日本語で教え始めたのがきっかけです.

その後,夫の仕事の関係でアトランタに引っ越して来た時に,娘の新体操を続けるために見つけたクラブでアシスタントコーチを始めました.このときから英語で指導をし始めました.

 

—海外でスポーツ指導を始めたときの会話力は?

最初にアメリカに来たときには,会話といえば,挨拶くらいしかできませんでした.アトランタで指導を始めた頃には6年位経っていたので,簡単な日常会話はできましたが,新体操指導の言葉は,ほとんど知りませんでした.なので,最初はヘッドコーチの言っていることをただマネしていました.

 

—スポーツ指導の会話力向上について,経験談を教えてもらえますか?

幼児から小学生くらいの子供達が相手だったので,クラスの前に簡単なおしゃべりをしたり,レッスン中に子供達から教わっていきました.たとえば,私が動きを見せて “What do you call this?”と子供達にきいて,教えてもらうことが多かったです.

 

—指導に関して日本と違うと感じることを,教えてもらえますか?

こちらでは,スポーツを教えることはサービスなので,その時間を十分に楽しませる事が,まず大切です.できていない動きを「それはできていない」と指摘ばかりせず,できていることを見つけ,ほめて育てる姿勢がとても大切だと思います.また,「お水を飲みたい」,「トイレに行きたい」など,レッスン中のリクエストには,たとえ数分おきに言われても,その都度受け入れています.

 

 

—これから,どのようなスポーツ指導者になっていきたいですか?

海外での指導や審判の経験を更に積んでいって,国際的に貢献できる審判になっていきたいと思っています.

 

そちらの国での日本人スポーツ指導者の需要はあると思いますか?

アメリカでは新体操はまだマイナーなので,指導者の数もとても限られています.日本人は一般的に教え方が丁寧なので,生徒の親からは,サービスがいいと喜ばれると思います.ですから,日本人の新体操指導者がアメリカで活躍できる可能性はとても高いと思います.

 

—最後に,海外でのスポーツ指導に興味がある人達へのメッセージを.

海外でのスポーツ指導を通じて,指導の知識を多く得ることが出来ています.新体操は,東欧(ロシア,ウクライナ,ベラルーシ,ブリガリア)で活躍している選手が多いです.アメリカは,数年前から多くの新体操指導者が移民して来ています.私は,アメリカというオープンな国で,東欧の新体操の動きや指導を直接学べる機会に恵まれ,自分自身の指導の幅が広がったことを実感し,幸せに思っています.

私の場合は新体操ですが,スポーツを通じて英語を理解できるようになりました.子供達に教えるための「動き」の言葉は,シンプルな英語ばかりです.そのような英語を実践の中で理解していくことで,国際的に通用できる指導者に一歩一歩近づいて行くことが出来るようになっていくと思います.

海外で指導して,自分を成長させる楽しみを,多くの日本人にも味わってもらえたら,と思います.

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