エリート新体操選手が演技を観察している時の脳の活動(Babiloniら, 2009)

新体操の演技を身につけるには,頭を上手に使うことが大切です.知能指数(IQ)の高い人が認知テストを行なっている時は,脳波中のアルファ波が低下することが知られ,それは「神経効率」の高さを示していると言われています.

では,エリート新体操選手が人の演技を観察しているときも,脳の中では同じようなことが起きているのでしょうか?

Judgment of actions in experts: a high-resolution EEG study in elite athletes. Babiloni C, Del Percio C, Rossini PM, Marzano N, Iacoboni M, Infarinato F, Lizio R, Piazza M, Pirritano M, Berlutti G, Cibelli G, Eusebi F (University of Foggia, Italy). Neuroimage. 45(2):512-21, 2009

イタリアの全国/国際レベルの女子新体操選手(15人,平均21歳)と体操経験の無い一般女子(13人,平均21歳)が,全国大会あるいは国際大会の新体操演技ビデオを120クリップ(1クリップ8秒)観察し,各クリップ中の演技レベルを10段階評価しました.さらに,これらの演技評価がコーチによる演技評価と合っているかどうか,正答率も分析しました.

演技評価中の脳波を調べたところ,エリート新体操選手の脳波(視覚運動系)のアルファ波(8-12 Hz)が一般女子よりも低く,それが右脳でより顕著なことがわかりました.また,アルファ波が低いほど,演技評価の正答率が高いことがわかりました.

英文要約

新体操の演技を観察しているとき,エリート新体操選手は脳を効率よく使っている可能性が高いのです.