新体操選手のたんぱく質摂取と鉄欠乏(小久保ら, 2010)

体重コントロールが求められるスポーツでは,栄養素摂取の偏りから鉄分不足になりやすく,それがスポーツパフォーマンスの低下を招く危険性があります.

新体操では,特にトレーニングの激しい試合期にさらに鉄分不足になるようです.

では,実際,新体操選手の試合期の栄養素摂取と鉄栄養状態はどのようになっているのでしょうか?

大学女子新体操選手の体内鉄栄養状態とたんぱく質摂取状況.小久保友貴 川野因 森佳子 長谷川祐子 目加田優子 石崎朔子(東京農業大学,日本女子体育大学など) 体力科学 59(5):475-484, 2010

日本の大学生女子新体操選手21名について,全日本学生新体操選手権大会の2ヶ月前と2週間前(試合期)に血液検査を行いました.

また,採血日前から過去1-2ヶ月間の習慣的な食べ方をふりかえることにより,1日あたりの平均的栄養素摂取量を算出しました.

試合期の血液中ヘモグロビン濃度の結果から,鉄欠乏群12名と正常群9名に分けられましたが,エネルギー摂取量は2群とも同じでした.

試合期の栄養素摂取は,試合2ヶ月前に比べ,正常群では,たんぱく質エネルギー比率,動物性たんぱく質比率が増加していましたが,鉄欠乏群では,それらの摂取が増加していませんでした.

また,たんぱく質エネルギー比率や動物性たんぱく質比率のが試合期に増えていた選手ほど,ヘモグロビン濃度が高くなっていました.

日本語論文

新体操選手は,トレーニングの激しい試合期には,たんぱく質(特に動物性)の摂取を増やさないと鉄欠乏(貧血)におちいりやすくなるという可能性を示しています.